残しておいた昼食のめざしを猫に与えていると、昨日部屋にやってきた侍女が廊下を通り掛かった。
侍女は俺に気が付くと頭を下げ、そのまま俺のうしろを通り過ぎようとした。
「待て」
礼を言わねばならないということで頭が一杯だったからか、曲者を呼び止めるような威圧的な声になった。
それ故にか侍女は固まるように立ち止まり、ゆっくりこちらを向くと
「何でございましょうか」
と、まるで裁定を受けるような緊張した面持ちで俺を見た。
昨日と言い今日と言い、この態度が白けるのだ。
「昨日の饅頭は美味かった。礼を言う」
侍女は俺の言葉を理解するのに時間が必要だったようで、少しの間きょとんとしていた。
が、ようやく解すると、有難うございますと一礼してそそくさと廊下を小走りに去っていった。
いくら殿様の御ためと言えど、これほど徒労感を感じることはない。
しかし、殿様の御ためには耐え、相手によらず礼を果たす心を身に付けねばならない。
侍女は俺に気が付くと頭を下げ、そのまま俺のうしろを通り過ぎようとした。
「待て」
礼を言わねばならないということで頭が一杯だったからか、曲者を呼び止めるような威圧的な声になった。
それ故にか侍女は固まるように立ち止まり、ゆっくりこちらを向くと
「何でございましょうか」
と、まるで裁定を受けるような緊張した面持ちで俺を見た。
昨日と言い今日と言い、この態度が白けるのだ。
「昨日の饅頭は美味かった。礼を言う」
侍女は俺の言葉を理解するのに時間が必要だったようで、少しの間きょとんとしていた。
が、ようやく解すると、有難うございますと一礼してそそくさと廊下を小走りに去っていった。
いくら殿様の御ためと言えど、これほど徒労感を感じることはない。
しかし、殿様の御ためには耐え、相手によらず礼を果たす心を身に付けねばならない。
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