夕方頃から、徐々に風が強くなり始めた。
秋と言えば嵐の季節、もしかすると今夜は大荒れになるのかも知れないと危惧していると、城下に住む空に詳しい者が城にやって来た。
「確かに雨風は強くなっておりますが、厳重に対策を施さねばならぬほどではございません。しかし、空を見ます限り、薩摩のほうは荒れているように思われました」
彼はそう言い、薩摩が荒れているだけに、こちらも領内の脆弱な箇所を保護したほうが安心であろう、と念のために対策を行うことを提案したようだ。
俺は下の者からその話を聞き、今日は球磨川の工事を切り上げ、人夫たちに資材をまとめさせるよう命じた。
「そいつ凄いな、空を見ただけでそこまで分かるのか」
島津義弘は彼の能力に驚き、しきりに不思議がっていた。
「薩摩じゃキジ馬が基準なんだ。キジ馬がいなくなったら嵐が来る、ってな」
そう言いながら、義弘は偶然部屋にいた殿のキジ馬に薩摩揚げをかじらせた。
義弘が城にやって来てから、キジ馬の肉付きが妙に良くなってきている。
飼い主である殿様の御ため、
「大変申し上げにくいのですが、キジ馬に薩摩揚げを与えるのは3日に1度、少量にしていただけますか。近頃肥って参りましたので」
「なんだ、駄目か。こいつ雌なんだし、これくらいぽっちゃりしてるくらいが可愛いんだけどなあ」
俺は唖然とした。
殿のキジ馬は雌だったのか。
知らなかった。
秋と言えば嵐の季節、もしかすると今夜は大荒れになるのかも知れないと危惧していると、城下に住む空に詳しい者が城にやって来た。
「確かに雨風は強くなっておりますが、厳重に対策を施さねばならぬほどではございません。しかし、空を見ます限り、薩摩のほうは荒れているように思われました」
彼はそう言い、薩摩が荒れているだけに、こちらも領内の脆弱な箇所を保護したほうが安心であろう、と念のために対策を行うことを提案したようだ。
俺は下の者からその話を聞き、今日は球磨川の工事を切り上げ、人夫たちに資材をまとめさせるよう命じた。
「そいつ凄いな、空を見ただけでそこまで分かるのか」
島津義弘は彼の能力に驚き、しきりに不思議がっていた。
「薩摩じゃキジ馬が基準なんだ。キジ馬がいなくなったら嵐が来る、ってな」
そう言いながら、義弘は偶然部屋にいた殿のキジ馬に薩摩揚げをかじらせた。
義弘が城にやって来てから、キジ馬の肉付きが妙に良くなってきている。
飼い主である殿様の御ため、
「大変申し上げにくいのですが、キジ馬に薩摩揚げを与えるのは3日に1度、少量にしていただけますか。近頃肥って参りましたので」
「なんだ、駄目か。こいつ雌なんだし、これくらいぽっちゃりしてるくらいが可愛いんだけどなあ」
俺は唖然とした。
殿のキジ馬は雌だったのか。
知らなかった。
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