今日は日曜日であったから、部屋で本を読んで過ごしていた。
6冊目を手に取った頃、殿がやって来て俺に細長い紙を突き出した。
何事かと思って訊いてみると、
「明日、七夕だから」
殿は独り言のように小さな声でそう答えた。
「願い事をそれに書いて、明日の夜までに僕に渡して。本音でも建て前でもいいから」
「建て前可ですか」
殿は頷いて、そのままふらふらと部屋を出て行った。
直後、廊下でなにかが柱にぶつかる音が聞こえたように思ったが、たぶん気のせいだろう。
建て前可。
こういう中途半端な部分で、殿は相良の血を引いている。
さて。
なにを書いて提出しようか。
俺は本を読むのをやめて、書く内容を考えた。
積み上げた6冊の「相良氏法度」。
読み上げたら、殿にこれを教えて差し上げなければならない。
殿さまの御ためは、なかなか忙しいものだ。
6冊目を手に取った頃、殿がやって来て俺に細長い紙を突き出した。
何事かと思って訊いてみると、
「明日、七夕だから」
殿は独り言のように小さな声でそう答えた。
「願い事をそれに書いて、明日の夜までに僕に渡して。本音でも建て前でもいいから」
「建て前可ですか」
殿は頷いて、そのままふらふらと部屋を出て行った。
直後、廊下でなにかが柱にぶつかる音が聞こえたように思ったが、たぶん気のせいだろう。
建て前可。
こういう中途半端な部分で、殿は相良の血を引いている。
さて。
なにを書いて提出しようか。
俺は本を読むのをやめて、書く内容を考えた。
積み上げた6冊の「相良氏法度」。
読み上げたら、殿にこれを教えて差し上げなければならない。
殿さまの御ためは、なかなか忙しいものだ。
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