昨日の「良い夫婦の日」に引き続き、今日は勤労感謝の日だった。
そのため、堤防工事も今日ばかりは休暇とし、工夫たちを休ませることにした。
城勤めの家臣らも休日となり、屋敷で休む者、連れ立って領内に狩りに出掛ける者、様々だった。
「お前はどこにも行かないのか?」
島津義弘が二の丸で猫を集めていたので、近寄ると彼はそう言った。
「そう易々と、殿のお側を離れるわけには参りませんので」
「真面目なんだなぁ」
義弘が猫を撫でてやると、猫は気持ち良さそうな声を出した。
「義弘殿は猫がお好きなのですか」
「あぁ、好きだよ。可愛いじゃねぇか」
薩摩の屋敷でも飼いたいらしいが、兄が許さないようで、仕方なく外出時に野良猫に構っているようだ。
「それに、猫の目をよく見たら時間が分かるんだぜ。だから、たまに戦に連れてったりするんだ」
「それは良いですね。雨の日でも時刻が分かるとは便利です」
そうして、今日は島津義弘に猫を使った有意義なことを教わった。
夜、早速猫を数匹部屋に集め、教わった通りに見てみると、確かに瞳孔の具合から時刻を見て取れた。
部屋の前を通り掛かった深水頼蔵は、覗き込んで
「にゃあにゃあ聞こえると思ったら。こんなに集めてどうしたのですか」
と笑っていた。
「これも殿様の御ためだ」
そう言って猫を外に帰そうとすると、いつの間にか猫が皆炬燵の中に入り込んでいた。
「これがどのようにして殿のお役に立つのか存じませんが、とりあえず明日のあなたのめざしが無くなりましたね」
頼蔵の言う通り、明日は猫にえさを与えてから帰そうと思う。
そのため、堤防工事も今日ばかりは休暇とし、工夫たちを休ませることにした。
城勤めの家臣らも休日となり、屋敷で休む者、連れ立って領内に狩りに出掛ける者、様々だった。
「お前はどこにも行かないのか?」
島津義弘が二の丸で猫を集めていたので、近寄ると彼はそう言った。
「そう易々と、殿のお側を離れるわけには参りませんので」
「真面目なんだなぁ」
義弘が猫を撫でてやると、猫は気持ち良さそうな声を出した。
「義弘殿は猫がお好きなのですか」
「あぁ、好きだよ。可愛いじゃねぇか」
薩摩の屋敷でも飼いたいらしいが、兄が許さないようで、仕方なく外出時に野良猫に構っているようだ。
「それに、猫の目をよく見たら時間が分かるんだぜ。だから、たまに戦に連れてったりするんだ」
「それは良いですね。雨の日でも時刻が分かるとは便利です」
そうして、今日は島津義弘に猫を使った有意義なことを教わった。
夜、早速猫を数匹部屋に集め、教わった通りに見てみると、確かに瞳孔の具合から時刻を見て取れた。
部屋の前を通り掛かった深水頼蔵は、覗き込んで
「にゃあにゃあ聞こえると思ったら。こんなに集めてどうしたのですか」
と笑っていた。
「これも殿様の御ためだ」
そう言って猫を外に帰そうとすると、いつの間にか猫が皆炬燵の中に入り込んでいた。
「これがどのようにして殿のお役に立つのか存じませんが、とりあえず明日のあなたのめざしが無くなりましたね」
頼蔵の言う通り、明日は猫にえさを与えてから帰そうと思う。
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