梅のつぼみが開き、薄桃色の花が枝先を飾るようになった。
近頃は、朝夕は寒くとも昼間は過ごしやすい。
もう少々待てば梅も満開になるだろう。
と、午後、殿とそのような話になったので、
「では、梅が見頃になる頃、花見に参りますか」
と誘ってみた。
きっと黙っていても殿は花見に行きたいと言うであろうから、あえて先に切り出した。
それに、俺も行きたいという乗り気の姿勢を見せたほうが、殿もより気楽に足を運べると思ったのである。
俺の誘いに対し、殿は嬉しそうに「行こう」と頷いた。
殿様の御ためが、殿の言うことに従い付いてゆくことであるとは言うまでもないが、時にはたしなめ、時にはこちらから引っ張ってゆくこともまた大事な殿様の御ためである。
このことは、政治・軍事に限らず日常においても言えることだ。
「しかし、梅を見て美味そうだと言うのも殿ぐらいですね」
筆に墨を含ませながらそう言うと、殿は
「梅干しを思い出すからね」
と、それだけで唾液が出てきたようだった。
梅と聞くと、俺は梅干しより先に主家の家紋を思い出す。
近頃は、朝夕は寒くとも昼間は過ごしやすい。
もう少々待てば梅も満開になるだろう。
と、午後、殿とそのような話になったので、
「では、梅が見頃になる頃、花見に参りますか」
と誘ってみた。
きっと黙っていても殿は花見に行きたいと言うであろうから、あえて先に切り出した。
それに、俺も行きたいという乗り気の姿勢を見せたほうが、殿もより気楽に足を運べると思ったのである。
俺の誘いに対し、殿は嬉しそうに「行こう」と頷いた。
殿様の御ためが、殿の言うことに従い付いてゆくことであるとは言うまでもないが、時にはたしなめ、時にはこちらから引っ張ってゆくこともまた大事な殿様の御ためである。
このことは、政治・軍事に限らず日常においても言えることだ。
「しかし、梅を見て美味そうだと言うのも殿ぐらいですね」
筆に墨を含ませながらそう言うと、殿は
「梅干しを思い出すからね」
と、それだけで唾液が出てきたようだった。
梅と聞くと、俺は梅干しより先に主家の家紋を思い出す。
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