今日の朝食は普段の一汁一菜ではなく、七種粥であった。
白い飯の中に散らばる緑には季節の美しさがあった。
「今朝の七種粥、美味しかったね」
俺が殿の部屋に挨拶に行くなり、殿は満足そうな顔でそう言った。
「昔は『青臭い』と言って嫌っていましたのに」
俺は自分の仕事道具を取り出し、机の上に並べた。
「そうだったっけ」
扇子をぱちりと閉じ、殿は思い出すように左斜め上を見た。
「そうでしたよ」
幼い頃から食い意地が張り、嫌いなものなど無かった殿が唯一避けていたのが七種粥である。
機嫌をとらねばならない人物から七種粥を供された場合のために、仕方なく無理に食べさせていたものだ、と語った。
「そうかー、あんなに美味しいのに嫌いだったんだ。いま食べられるのはよりあにのおかげだね」
「滅相もありません。大人になればなるほど、嗜好は少なからず変わるものですから」
殿はまた扇子をぱちりと閉じた。
「年を取れば取るほど、その良さにますます気が付くこともある」
殿様の御ため、俺は
「仰るとおりです」
と言ったが、殿は昨日から熱でもあるのだろうか。
発言が真面目すぎる。
白い飯の中に散らばる緑には季節の美しさがあった。
「今朝の七種粥、美味しかったね」
俺が殿の部屋に挨拶に行くなり、殿は満足そうな顔でそう言った。
「昔は『青臭い』と言って嫌っていましたのに」
俺は自分の仕事道具を取り出し、机の上に並べた。
「そうだったっけ」
扇子をぱちりと閉じ、殿は思い出すように左斜め上を見た。
「そうでしたよ」
幼い頃から食い意地が張り、嫌いなものなど無かった殿が唯一避けていたのが七種粥である。
機嫌をとらねばならない人物から七種粥を供された場合のために、仕方なく無理に食べさせていたものだ、と語った。
「そうかー、あんなに美味しいのに嫌いだったんだ。いま食べられるのはよりあにのおかげだね」
「滅相もありません。大人になればなるほど、嗜好は少なからず変わるものですから」
殿はまた扇子をぱちりと閉じた。
「年を取れば取るほど、その良さにますます気が付くこともある」
殿様の御ため、俺は
「仰るとおりです」
と言ったが、殿は昨日から熱でもあるのだろうか。
発言が真面目すぎる。
PR
COMMENT