今日は仕事始めの日だった。
初日から欠勤した者も無く、皆健康に新しい年の仕事を始められたようだ。
午後、自室で筆を走らせていると深水頼蔵がやって来た。
新年の挨拶は既に元日に済ませていたのだが、頼蔵はもう一度それを繰り返した。
仕方なく俺もそれに付き合い、「なにをしに来た」と訊いた。
「会計ですよ」
頼蔵はにこやかに答え、帳簿を出すよう求めた。
正月だからか、会計役が月初めに来ることをすっかり忘れていた。
俺は帳簿を差し出し、自分の仕事に戻った。
すると突然、頼蔵が妙な笑い声を立てた。
「そうですか、あなたも優しいことをするのですね」
頼蔵がなにに笑ったのかはわかっていた。
「甥と姪にお年玉をあげるなんて、よい叔父を務め上げていますね」
頼蔵はそう言いながら、会計帳簿に書き込みを始めた。
「親戚のために行動するのも、殿様の御ために繋がる」
「照れ隠しは要りませんよ」
俺は立ち上がり、頼蔵に新年初蹴りを入れた。
初日から欠勤した者も無く、皆健康に新しい年の仕事を始められたようだ。
午後、自室で筆を走らせていると深水頼蔵がやって来た。
新年の挨拶は既に元日に済ませていたのだが、頼蔵はもう一度それを繰り返した。
仕方なく俺もそれに付き合い、「なにをしに来た」と訊いた。
「会計ですよ」
頼蔵はにこやかに答え、帳簿を出すよう求めた。
正月だからか、会計役が月初めに来ることをすっかり忘れていた。
俺は帳簿を差し出し、自分の仕事に戻った。
すると突然、頼蔵が妙な笑い声を立てた。
「そうですか、あなたも優しいことをするのですね」
頼蔵がなにに笑ったのかはわかっていた。
「甥と姪にお年玉をあげるなんて、よい叔父を務め上げていますね」
頼蔵はそう言いながら、会計帳簿に書き込みを始めた。
「親戚のために行動するのも、殿様の御ために繋がる」
「照れ隠しは要りませんよ」
俺は立ち上がり、頼蔵に新年初蹴りを入れた。
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