実のところ、俺は小西行長と文を交わして「くりすます」の情報を貰っていた。
なので、くりすますにすることや、その日に食べる料理についての基礎は一通り勉強していた。
殿を雉狩りに誘ったのも気が向いたからではなく、くりすますの七面鳥代わりに雉を用意したかったからだ。
夕方頃から大広間に家臣一同が集まり始め、辺りが暗くなると新年の宴会のように盛大な騒ぎが始まった。
皆、見たことも聞いたこともない食べ物に恐る恐る箸をのばしては、「美味い」と顔をほころばせていた。
「よりあに」
呼ばれて殿の席に行くと、殿は包みを差し出した。
「『ぷれぜんと』だよ」
包装を解くと、筆が現れた。
それもなかなかの上物だった。
「よりあには、飾るものより普段使うもののほうが好きそうだったからね」
俺は礼を言い、用意していたものを懐から出した。
「今のものは少々短いように思われましたので」
俺が殿に贈ったのは、キジ馬が描かれている箸だった。
殿はたいそう喜び、早速その場から使ってくれた。
贈り物を用意した相手は、殿だけではない。
城下に住む姪や甥にも、渡してきた。
どんなものが好みであるかは、日曜日に話をして大体目星をつけていたのだ。
基督教を知らない彼らは、なぜ特別な日でもない今日に物をくれるのかと不思議がっていた。
当初は反対したくりすますの宴だったが、意外にも皆の反応は良く、俺自身も「やって良かった」と思える内容だった。
これで御家中がより親密になれば、殿様の御ためになるであろう。
殿様の御ためには、異国の行事もないがしろにできないものだと改めて感心した。
なので、くりすますにすることや、その日に食べる料理についての基礎は一通り勉強していた。
殿を雉狩りに誘ったのも気が向いたからではなく、くりすますの七面鳥代わりに雉を用意したかったからだ。
夕方頃から大広間に家臣一同が集まり始め、辺りが暗くなると新年の宴会のように盛大な騒ぎが始まった。
皆、見たことも聞いたこともない食べ物に恐る恐る箸をのばしては、「美味い」と顔をほころばせていた。
「よりあに」
呼ばれて殿の席に行くと、殿は包みを差し出した。
「『ぷれぜんと』だよ」
包装を解くと、筆が現れた。
それもなかなかの上物だった。
「よりあには、飾るものより普段使うもののほうが好きそうだったからね」
俺は礼を言い、用意していたものを懐から出した。
「今のものは少々短いように思われましたので」
俺が殿に贈ったのは、キジ馬が描かれている箸だった。
殿はたいそう喜び、早速その場から使ってくれた。
贈り物を用意した相手は、殿だけではない。
城下に住む姪や甥にも、渡してきた。
どんなものが好みであるかは、日曜日に話をして大体目星をつけていたのだ。
基督教を知らない彼らは、なぜ特別な日でもない今日に物をくれるのかと不思議がっていた。
当初は反対したくりすますの宴だったが、意外にも皆の反応は良く、俺自身も「やって良かった」と思える内容だった。
これで御家中がより親密になれば、殿様の御ためになるであろう。
殿様の御ためには、異国の行事もないがしろにできないものだと改めて感心した。
PR
COMMENT