予定通り、明日熊本へ向かう。
殿は1日掛けて旅の支度をしていた。
だが、移動時間を短縮するために駕籠ではなく馬で動くため、あまり多くの荷物は載せられない。
俺は、簡単な着替えや清正への手土産など、最低限のものだけを荷造りするように伝えておいた。
殿がせわしく準備に明け暮れる様子を、殿のキジ馬は切なげな目で見ていた。
「キジ馬」
殿はキジ馬を呼んだ。
呼ばれて、キジ馬は殿のほうへ寄っていった。
殿は両手で抱き上げ、
「キジ馬にも土産を持って帰るし、戻ったら土産話もしてあげるよ。だから、それを楽しみにして、よく頼蔵の言うことを聞くんだよ」
と言った。
キジ馬はおとなしく頷いていたが、感極まったのか、甘える声で「きゅ~きゅ~」と鳴き始めた。
殿様の御ため、俺は、
「殿。将来、背後(島津)を気にせずに、キジ馬と共にゆっくりと熊本へ行けるようになるため、尽力致します」
と、殿の後ろ姿に向かって言った。
「うん、頼むよ」
殿は名残惜しそうにキジ馬の背を撫でていた。
殿は1日掛けて旅の支度をしていた。
だが、移動時間を短縮するために駕籠ではなく馬で動くため、あまり多くの荷物は載せられない。
俺は、簡単な着替えや清正への手土産など、最低限のものだけを荷造りするように伝えておいた。
殿がせわしく準備に明け暮れる様子を、殿のキジ馬は切なげな目で見ていた。
「キジ馬」
殿はキジ馬を呼んだ。
呼ばれて、キジ馬は殿のほうへ寄っていった。
殿は両手で抱き上げ、
「キジ馬にも土産を持って帰るし、戻ったら土産話もしてあげるよ。だから、それを楽しみにして、よく頼蔵の言うことを聞くんだよ」
と言った。
キジ馬はおとなしく頷いていたが、感極まったのか、甘える声で「きゅ~きゅ~」と鳴き始めた。
殿様の御ため、俺は、
「殿。将来、背後(島津)を気にせずに、キジ馬と共にゆっくりと熊本へ行けるようになるため、尽力致します」
と、殿の後ろ姿に向かって言った。
「うん、頼むよ」
殿は名残惜しそうにキジ馬の背を撫でていた。
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