午後、俺の元に新米の石高計算の報告書が上がってきたので、それを確認した後、殿に提出した。
「去年の3厘増しの収穫でした」
書類に目を徹していた殿は、
「3厘か。結構上がったね」
と感心していた。
少しずつ進めている新田開発が、確実に効果を上げているようであった。
「これに治水が完成すれば、もっと収穫できるようになるだろうね」
殿はそう言って書類を机の上に置いた。
「計算が終わりましたので、さっそく今夜は新米を夕食に出すようですよ」
このことは、収穫が始まった頃に既に台所の連中に頼んでいた。
倹約中なので腹一杯食べさせることはできないが、せめて味を楽しんでもらいたかった。
殿は「それは楽しみだな」と声を弾ませていた。
「しかし、殿。美味いものを食う前によく働くと、いっそう美味くなると聞きます。如何でしょうか」
俺は、収穫高の報告書と共に抱えてきた書類の山を殿の前に差し出した。
元が良いものでも、それに工夫を加えることで殿には最高の気分を味わっていただきたい。
これも殿様の御ためである。
殿の表情は一瞬で固まったが、俺は構わずに書類をもう一度殿の前に差し出した。
「去年の3厘増しの収穫でした」
書類に目を徹していた殿は、
「3厘か。結構上がったね」
と感心していた。
少しずつ進めている新田開発が、確実に効果を上げているようであった。
「これに治水が完成すれば、もっと収穫できるようになるだろうね」
殿はそう言って書類を机の上に置いた。
「計算が終わりましたので、さっそく今夜は新米を夕食に出すようですよ」
このことは、収穫が始まった頃に既に台所の連中に頼んでいた。
倹約中なので腹一杯食べさせることはできないが、せめて味を楽しんでもらいたかった。
殿は「それは楽しみだな」と声を弾ませていた。
「しかし、殿。美味いものを食う前によく働くと、いっそう美味くなると聞きます。如何でしょうか」
俺は、収穫高の報告書と共に抱えてきた書類の山を殿の前に差し出した。
元が良いものでも、それに工夫を加えることで殿には最高の気分を味わっていただきたい。
これも殿様の御ためである。
殿の表情は一瞬で固まったが、俺は構わずに書類をもう一度殿の前に差し出した。
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