深水頼蔵の良いところを本人に3つ告げる話を受け、今日は2つ目を実行した。
頼蔵は城中の交友関係が広い。
見掛ける度に誰かと話しており、休日はよく家臣同士で誘い合って飲みに行っているらしい。
これについて考えを詰めていくと、またひとつ奴の長所を見出すことができた。
「お前は人付き合いが上手いな」
廊下で奴が岡本頼氏殿と別れたところを見計らい、俺がそう言うと、頼蔵は、
「ただそういう性分であるだけですよ」
人と話すのが好きなので、人を求める結果、傍目にはそう見えるだけだ、と頼蔵は微笑んだ。
「味方は多いほうがいい。俺などより、お前の性格のほうが世を上手く渡れるだろう」
つい俺は思ったことをそのまま口にしてしまい、また嫌味のようなことを言ってしまった。
が、頼蔵はいつものように嫌味を返すこともせず、呟いた。
「上面だけで群れていて、味方ですか。互いに本音を晒すこともできずに、味方とは言えません」
意外なほどに深刻な顔をした頼蔵に、俺は内心驚いた。
「私は、できることなら」
頼蔵は続けた。
「信念やら本音やらを堂々と語ってくれるあなたとこそ、味方になりたいものです。芯の強い人間ほど凶器ですが、自分の近くにいれば、これほど頼もしい相手はいませんよ」
これが頼蔵の本音なのか、違うのか。
俺をたぶらかす策なのか、違うのか。
これまで様々な人間と政治的・心情的な駆け引きを繰り返してきたが、頼蔵の頭の中はわからなかった。
それがわかったとき、俺と深水頼蔵の人間関係において、殿様の御ためにすべきほんとうのこともわかるのであろう。
頼蔵は城中の交友関係が広い。
見掛ける度に誰かと話しており、休日はよく家臣同士で誘い合って飲みに行っているらしい。
これについて考えを詰めていくと、またひとつ奴の長所を見出すことができた。
「お前は人付き合いが上手いな」
廊下で奴が岡本頼氏殿と別れたところを見計らい、俺がそう言うと、頼蔵は、
「ただそういう性分であるだけですよ」
人と話すのが好きなので、人を求める結果、傍目にはそう見えるだけだ、と頼蔵は微笑んだ。
「味方は多いほうがいい。俺などより、お前の性格のほうが世を上手く渡れるだろう」
つい俺は思ったことをそのまま口にしてしまい、また嫌味のようなことを言ってしまった。
が、頼蔵はいつものように嫌味を返すこともせず、呟いた。
「上面だけで群れていて、味方ですか。互いに本音を晒すこともできずに、味方とは言えません」
意外なほどに深刻な顔をした頼蔵に、俺は内心驚いた。
「私は、できることなら」
頼蔵は続けた。
「信念やら本音やらを堂々と語ってくれるあなたとこそ、味方になりたいものです。芯の強い人間ほど凶器ですが、自分の近くにいれば、これほど頼もしい相手はいませんよ」
これが頼蔵の本音なのか、違うのか。
俺をたぶらかす策なのか、違うのか。
これまで様々な人間と政治的・心情的な駆け引きを繰り返してきたが、頼蔵の頭の中はわからなかった。
それがわかったとき、俺と深水頼蔵の人間関係において、殿様の御ためにすべきほんとうのこともわかるのであろう。
PR
COMMENT