例の如く、殿の間食の握り飯を台所の連中に作らせていると、今日は土用の丑の日なので、夕食にうなぎの蒲焼が出ると聞いた。
しかし、俺はあんな脂っこいものは苦手だ。
そこで、殿の部屋に戻って握り飯を与えながら食わせながら、
「殿、今晩の夕食はご一緒してもよろしいですか」
と訊いた。
殿は怪訝な表情もせず、「うんいいよ」と機嫌よく答えた。
夕食が運ばれてくると、滅多にうなぎなど食べられないので、殿は大喜びだった。
食うことに関しては喜楽しかない。
俺は予めうなぎを4:6の大きさに切り分け、大きいほうを小皿にとって
「殿、よろしければお食べください」
と差し出した。
殿は飯を頬張ったままきょとんとしていたが、「どうぞ」と俺が促すと、「じゃあいただきます」と小皿を手に取った。
計画通り。
殿のことであるから、俺が急に夕食を共にしたがったことも、やたら大きめのうなぎを差し出したことも、気にすまい。
なんせ殿は、そこに食うことが絡んでくると細かいことに目がいかない性質である。
仮に、俺の苦手なものを片付ける道具とされたことに気がついても、「うまいものを食えたから構わない」、むしろ「儲けたな」と思うくらいだ。
俺には「若いうちにこういうものを召し上がったほうがいいので、殿様の御ために」という理屈もある。
完璧だ。
しかし。
うなぎすら受け付けなくなってしまった俺は、年を取ったのかもしれない(悲)。
しかし、俺はあんな脂っこいものは苦手だ。
そこで、殿の部屋に戻って握り飯を
「殿、今晩の夕食はご一緒してもよろしいですか」
と訊いた。
殿は怪訝な表情もせず、「うんいいよ」と機嫌よく答えた。
夕食が運ばれてくると、滅多にうなぎなど食べられないので、殿は大喜びだった。
食うことに関しては喜楽しかない。
俺は予めうなぎを4:6の大きさに切り分け、大きいほうを小皿にとって
「殿、よろしければお食べください」
と差し出した。
殿は飯を頬張ったままきょとんとしていたが、「どうぞ」と俺が促すと、「じゃあいただきます」と小皿を手に取った。
計画通り。
殿のことであるから、俺が急に夕食を共にしたがったことも、やたら大きめのうなぎを差し出したことも、気にすまい。
なんせ殿は、そこに食うことが絡んでくると細かいことに目がいかない性質である。
仮に、俺の苦手なものを片付ける道具とされたことに気がついても、「うまいものを食えたから構わない」、むしろ「儲けたな」と思うくらいだ。
俺には「若いうちにこういうものを召し上がったほうがいいので、殿様の御ために」という理屈もある。
完璧だ。
しかし。
うなぎすら受け付けなくなってしまった俺は、年を取ったのかもしれない(悲)。
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