年度末の決算期ということで、会計係である深水頼蔵は多忙を極めているようである。
会計の者総出で仕事に当たっているとのことだが、どうも人手が足りないらしく、この1週間ほど会計にかり出されていた。
連日朝から晩までそろばんを弾き続けたのは、新入りの頃以来であった。
午後、とりあえずひと段落がついたので、頼蔵が礼にと旨い茶を飲ませる店に俺を誘った。
「とても助かりました。これで決算書の提出日に間に合いそうです」
頼蔵は心底安心したような表情をしていた。
「それならいい」
俺はそう答え、運ばれてきた茶をすすった。
舌の肥えた頼蔵が美味いと言うだけに、確かに味の良い茶であった。
「いつか殿を連れて来たいところだな」
「桜の花見のついでにお連れしたらどうですか」
ここには甘いぜんざいもありますから、と言い、頼蔵も美味そうに茶をすすった。
城下町には様々な店が並んでいるが、俺は店の良し悪しの評判に疎い。
食い物に目がない殿様の御ため、頼蔵のように良い店を熟知していることも大事なことだと思った。
「他にも良いところがあれば、また教えてくれ」
素直にそう頼むと、頼蔵は「お安い御用です」と快く頷いた。
会計の者総出で仕事に当たっているとのことだが、どうも人手が足りないらしく、この1週間ほど会計にかり出されていた。
連日朝から晩までそろばんを弾き続けたのは、新入りの頃以来であった。
午後、とりあえずひと段落がついたので、頼蔵が礼にと旨い茶を飲ませる店に俺を誘った。
「とても助かりました。これで決算書の提出日に間に合いそうです」
頼蔵は心底安心したような表情をしていた。
「それならいい」
俺はそう答え、運ばれてきた茶をすすった。
舌の肥えた頼蔵が美味いと言うだけに、確かに味の良い茶であった。
「いつか殿を連れて来たいところだな」
「桜の花見のついでにお連れしたらどうですか」
ここには甘いぜんざいもありますから、と言い、頼蔵も美味そうに茶をすすった。
城下町には様々な店が並んでいるが、俺は店の良し悪しの評判に疎い。
食い物に目がない殿様の御ため、頼蔵のように良い店を熟知していることも大事なことだと思った。
「他にも良いところがあれば、また教えてくれ」
素直にそう頼むと、頼蔵は「お安い御用です」と快く頷いた。
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