先日以降、毎日露袈裟に会って懇談している。
以前贈った木彫りのキジ馬もそれなりに気に入ったようで、なによりの経過である。
今日は、人吉ではこの時期になるとキジ馬幟を上げることを話した。
これは雛祭りと対なるもので、幟は男子の成長を祝い願うものである。
すでにキジ馬絵馬のことは話していたので、娘は
「球磨ではなんでもキジ馬なのですね」
と笑っていた。
なるほど好感触であった。
しかし、夕方、これまで築き上げて来たすべてが瓦解した。
薩摩に偵察に出ていた弾正の部下から、相良は信用できぬとの報告があったらしい。
上井覚兼だと直感した。
人吉ではおそらく堤防工事が始まっている。
かつて覚兼が言い渡した工事見学の申し出を頼蔵辺りが呑み、薩摩に連絡の書状を差し出したので、島津家が人数を出す手筈を整えているその場面を弾正の部下が見たに違いない。
故に、反加藤を掲げている相良が島津に厳重に監視されている実態に疑問が生じたのであろう。
早速弾正に呼び出され、この縁談は無かったことにし、以降金輪際露袈裟に近づくことは禁止となった。
周囲の武家の支配を受けていない椎葉の集落と言えど、相良と縁組し、大勢力の島津家に睨まれるなど一切御免である。
結局、日が暮れる前に那須家を追い出されるように出、再び山道を球磨に向かって歩くことになった。
なんの収穫もなく帰路についたのだが、露袈裟という娘がどのような気性であるかを知られただけでも良いとしたい。
とにかくも今は、殿様の御ため、一刻も早く人吉城に戻らねばならない。
以前贈った木彫りのキジ馬もそれなりに気に入ったようで、なによりの経過である。
今日は、人吉ではこの時期になるとキジ馬幟を上げることを話した。
これは雛祭りと対なるもので、幟は男子の成長を祝い願うものである。
すでにキジ馬絵馬のことは話していたので、娘は
「球磨ではなんでもキジ馬なのですね」
と笑っていた。
なるほど好感触であった。
しかし、夕方、これまで築き上げて来たすべてが瓦解した。
薩摩に偵察に出ていた弾正の部下から、相良は信用できぬとの報告があったらしい。
上井覚兼だと直感した。
人吉ではおそらく堤防工事が始まっている。
かつて覚兼が言い渡した工事見学の申し出を頼蔵辺りが呑み、薩摩に連絡の書状を差し出したので、島津家が人数を出す手筈を整えているその場面を弾正の部下が見たに違いない。
故に、反加藤を掲げている相良が島津に厳重に監視されている実態に疑問が生じたのであろう。
早速弾正に呼び出され、この縁談は無かったことにし、以降金輪際露袈裟に近づくことは禁止となった。
周囲の武家の支配を受けていない椎葉の集落と言えど、相良と縁組し、大勢力の島津家に睨まれるなど一切御免である。
結局、日が暮れる前に那須家を追い出されるように出、再び山道を球磨に向かって歩くことになった。
なんの収穫もなく帰路についたのだが、露袈裟という娘がどのような気性であるかを知られただけでも良いとしたい。
とにかくも今は、殿様の御ため、一刻も早く人吉城に戻らねばならない。
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