休日の今日は1日中本を読んで過ごした。
かつて読み学んだ本でも、目を通す回数が増えるほど、より深い意味を汲み取ることができるものだ。
読書というものは、他人が邪魔に入らない限り好きなように気楽に時間を過ごさせてくれるが、今日は深水頼蔵という邪魔が入ってしまった。
「頼兄殿ならなにか良い本をお持ちだと思いましたので」
違うことをしていたら「そんな本はない」と追い返したのだが、運悪く明らかに読書中であった。
俺は部屋の中の本を好きに探せと言い、読書を続けた。
すると早速頼蔵は机に積んである本を物色し、
「さすが犬童のお家ですね。このような珍しい本があるとは」
と、ある1冊を手に取り、いかにも読みたいと言わんばかりに目を輝かせた。
その本は、実家から持ち出した兵学書であった。
兵学は頼蔵の専門である。
貴重で高価な本だったが、
「読みたければ持って行け」
と、俺は貸し出すことを許した。
「まことですか、良いのですか」
許しが出るとは思ってもいなかったのか、頼蔵は子供のように歓声を上げた。
「殿様の御ため、お前には兵学を究める義務があるからな」
もちろん、頼蔵が軍師でなければ、あのような貴重な本は貸さなかっただろう。
幾度も礼を言う頼蔵に「ただしきちんと返せ」と付け足し、俺はうるさい頼蔵を部屋から追い出した。
かつて読み学んだ本でも、目を通す回数が増えるほど、より深い意味を汲み取ることができるものだ。
読書というものは、他人が邪魔に入らない限り好きなように気楽に時間を過ごさせてくれるが、今日は深水頼蔵という邪魔が入ってしまった。
「頼兄殿ならなにか良い本をお持ちだと思いましたので」
違うことをしていたら「そんな本はない」と追い返したのだが、運悪く明らかに読書中であった。
俺は部屋の中の本を好きに探せと言い、読書を続けた。
すると早速頼蔵は机に積んである本を物色し、
「さすが犬童のお家ですね。このような珍しい本があるとは」
と、ある1冊を手に取り、いかにも読みたいと言わんばかりに目を輝かせた。
その本は、実家から持ち出した兵学書であった。
兵学は頼蔵の専門である。
貴重で高価な本だったが、
「読みたければ持って行け」
と、俺は貸し出すことを許した。
「まことですか、良いのですか」
許しが出るとは思ってもいなかったのか、頼蔵は子供のように歓声を上げた。
「殿様の御ため、お前には兵学を究める義務があるからな」
もちろん、頼蔵が軍師でなければ、あのような貴重な本は貸さなかっただろう。
幾度も礼を言う頼蔵に「ただしきちんと返せ」と付け足し、俺はうるさい頼蔵を部屋から追い出した。
PR
COMMENT