先月末から立て込んでいた仕事が片付いた。
今夜は久々に本を手に取り、炬燵で茶を飲みながら読書を楽しんだ。
それにしても、日記を控えていた3週間ほどで随分寒くなったものだ。
空は青く日差しが差していようとも、風は目が覚めるくらい冷たくなった。
それと並行して、廊下で交わす挨拶も二言目には「寒くなりましたね」と聞くことが多くなった。
季節の変わり目、特に冬になるときは人は敏感である。
夏よりも身に染みて肌で季節を感じられるからであろうか。
それとも、あまりにも変化してしまう木々の葉の色だろうか。
この間見たときは艶のいい緑色をしていたのに、ふと気が付くと黄みを帯び、そしてふと振り返ると木の根元が黄色く染まっている。
俳句の季語などをいくら並べ立てても、この景色以上に秋を訴えかけることはできないだろう。
「明日の昼は外で食べようよ」
仕事を終え、伸びをしながら外を見て、殿はそう言った。
きっと明日も寒いだろう。
しかし、俺は頷いた。
一瞬と言われる秋の姿に興味を持った殿様の御ためならば、寒風もまた風流なものである。
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